版画について

版画とは

アーティストが版画を制作する目的で下絵を描き、版作りと刷り、最終チェックに至るまで、作家の監修によってできあがった作品をいいます。
版画工房によって複雑な技法を用いて制作され、数も限定されています。刷られた版画の一枚一枚を作家自身がチェックをして、完成品と認めた作品にのみ、サインと限定番号を入れております。
鶴田一郎の版画にはリトグラフ、シルクスクリーン、ジークレーの3種類の技法が主に使われており、これらの技法で制作された作品は、作家と職人との幾度にわたる綿密なやり取りを経て完成されたものばかりです。それらの技法をご紹介いたします。

img_1リソグラフ
lithograph
日本語では主に石版画と呼ばれる平版の版画です。
石版(石灰石)の上に、油性の強い墨、鉛筆、チョーク、クレヨンで作画して、その上に滑石粉末と硝酸を加えたアラビアゴム液を塗ると、作画した部分にだけインクが付着します。そのインクを紙に写し取ることで色をつけていきます。細かい表現が可能なため描いたそのままを版画にすることができ、現在では石版の他に、アルミ版や亜鉛版などでも代用されています。版色を重ねて行く事でグラデーションや、細かい線の表現が可能と言われており、鶴田一郎作品では「青い鳥」、「カサブランカ」、「めざめ」などに使用されています。
img_2シルクスクリーン
silkscreen
セリグラフとも言われる孔版の版画です。
木枠または金属の枠に絹、ナイロン、テトロン、ステンレス、スティールなどのスクリーンを張り、その細かい織り目を通して、スクィージと呼ばれる平らなゴムべらを使って絵の具を版の下に置いた紙に刷り込みます。シルクスクリーンの特徴として、絵具を重厚な感じに盛り上げることができること、布の細かい織り目による一種の統一感が出ることなどがあげられます。また、色の境界線がはっきりしていて均質に仕上がり、リトグラフ同様、版色を複数重ねて行く事で、複雑な色使いが細部まで再現されます「デスティネーション」や「アフタヌーンパーティー」、「マドンナ」など、色の対比を表現した作品にはこの技法が使用されています。
img_3ジークレー
giclee
ジークレーはデジタル・リトグラフともいわれ、最新のコンピュータ技術を使った版画技法です。リトグラフやシルクスリーンなどとは異なり、版は使用せず、最新のコンピュータ技術を使いダイレクトにインクを版画紙に吹き付ける技法です。原画をコンピュータで解析し厳密に測定した上で、ミクロ粒子のジェット噴射を行い、色彩は7万色以上もの微妙な発色が可能です。非常に繊細な線のタッチ、微妙な色彩の変化、色彩の揺れなども逃さず再現することができます。この技法は「ブレッシングミューズ」、「パープルナイトレッドドア」などに使用されています。